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-Optics Research-

Trijicon TARS103 3-15x50

Trijicon TARS103 3-15x50
ManufactureTrijicon
Price$4,464.00
Official siteTARS103
Review date2021.07.31
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Trijicon TARS103 3-15x50

Trijicon TARS103 3-15x50です。
TARSはTactical Advanced Rifle Scopeの略で、ACOGと同等の頑丈さで長距離狙撃を目的としたスコープです。
TARS103はJW MIL-Square Reticleを内臓したモデルです。
本体にはTenebraexのフリップキャップが標準装備され、マニュアル、製品カタログ、保証書、レンズペン、ステッカーが付属します。
AccuPointの製造は日本のライト光機でしたが、TARSはアメリカ製となっています。

Trijicon TARS103 3-15x50

箱は紙箱ではなく、専用のプラスチックケースに入っています。

Trijicon TARS103 3-15x50

中はこんな感じになっています。

Trijicon TARS103 3-15x50

チューブ径は34mmとなっていますが、前後で異なっており、エレクター部より前方のチューブが後方より太い製造不備があります。
見た目では判りませんがマウントリングを装着してみると明らかに違っています。
重さはフリップキャップ込みで1354gと非常に重いです。

Trijicon TARS103 3-15x50

ボディ左側にはTrijiconのロゴの刻印があります。

Trijicon TARS103 3-15x50

調整ダイアルは一周100Clickで1Click 100mで1cmの移動量です。
ロック機能があり、ダイアルを上に上げないとダイアルの操作ができない様になっています。

Trijicon TARS103 3-15x50

エレベーションとウィンデージダイアルのロックを解除した状態です。
ダイアルのUNLOCKEDの文字が見える様になり、ロックが解除されていることが判ります。
ダイアルにはバーニアスケールの刻印がありますが、下に回しすぎると線が隠れてしまい、基点となる位置が判らなくなってしまいます。

Trijicon TARS103 3-15x50

サイドフォーカスは40~∞となっています。
数字の表記は40のみで、それ以降は横線が少しずつ大きくなっていきます。
フォーカスの操作はかなり重めで、不意に動かないようにしているのかもしれませんが、操作性の悪さを感じます。

Trijicon TARS103 3-15x50

イルミネーションの起動と調整は+と-のボタンで行います。
+か-を押せばイルミネーションが起動し、10段階の調整が可能になっています。
1~2段階はナイトビジョン、3はトリチウムと同等の明るさとなっています。
イルミネーションを消すには+と-のボタンを同時に3秒間押し続けるのですが、ボタンは小さく出っ張りも少ないので、片手のみの操作で消すのは困難で操作性が悪いです。

Trijicon TARS103 3-15x50

バッテリーはCR2032を1枚使用します。
蓋の裏には太めのリングが付いており、防水対策がされています。

Trijicon TARS103 3-15x50

パワーダイアルは回転部分に矢印が付いている相変わらず見辛い仕様です。
この個体だけかもしれませんが、3から倍率を上げるときに4の位置で変なロックが掛かることがあります。
一度少しだけ倍率を戻してから上げ直す必要があり、内部の構造に問題がありそうです。

Trijicon TARS103 3-15x50

エレクター部底面にはスペックとアメリカ製、シリアルナンバーの刻印があります。
コイルスプリングはU.S.Opticsにそっくりな形をしています。

Trijicon TARS103 3-15x50

対物レンズのコーティングは表側イエローグリーン、裏側ブルー、ピンク→イエロー。
対物レンズからスコープ内部を覗くと、反射防止用の塗料の様なものがべっとりと塗られており、リコイルの衝撃で内部のレンズに付着しそうで怖いです。

Trijicon TARS103 3-15x50

接眼レンズのコーティングは表側パープル、グリーン、裏側パープルx2。
接眼レンズがかなり厚い作りになっている様に見えます。

Trijicon TARS103 3-15x50

3倍時。FFP仕様なので低倍率時は十字のレティクルです。

Trijicon TARS103 3-15x50

15倍時。写真ではレティクルが潰れてしまっています。
アイボックスがかなり狭く、少しでも中心から外れて覗くと写真の様に視界の外側が黄ばみます。
中心より左に外れて覗くと視界の左側が青色、右側が黄色になり、右に外れて覗くと視界の左側が黄色、右側が青色になる変な不具合があります。
倍率が高い程、この範囲が広くなるので高倍率時は非常に覗き難いです。
解像度は悪くはありませんが、この値段にしては光学性能が非常に低いと言えます。

Trijicon TARS103 3-15x50

レティクルはMIL-Squareの通り、ドットではなく四角になっています。
イルミネーションを起動すると中心の十字部分のみ発光します。
イルミネーションは最大にすると日中でも視認できる程の明るさになりますが、滲むことなく綺麗に発光します。
ここまで綺麗なイルミネーションは高額スコープでしか見ることができません。
残念ながらイルミネーションは撮影前に故障してしまい撮れませんでした・・・。

Trijicon TARS103 3-15x50
Diameter34mm
Weight1354g
Eye relief約100mm~110mm
Objective coating表側イエローグリーン、裏側ブルー、ピンク→イエロー
Eyepiece coating表側パープル、グリーン、裏側パープルx2

集光機能もトリチウムも内蔵されておらず、聖書刻印もないTrijiconらしくないスコープです。
操作性、光学性能も悪く、どうしてここまで高額になってしまったのか疑問に思います。
このスコープの優れている点は耐久性とイルミネーションの滲みの無さになりますが、イルミネーションが点灯しなくなる不具合に遭遇したのでこれは評価できません。
Trijiconの電装系は最悪と言われているのを実感したスコープです。
バッテリーを使用するACOG、VCOG、SRS、MRO、TriPower、RMR辺りのアメリカ製は避けた方がいいのかもしれません。
AccuPowerもバッテリーを使用しますが、これは日本製なので問題なく使用できると思います。
現地の相場は$2500程ですが、重いだけのスコープでコストパフォーマンスが悪すぎます。
まったく売れなかったのか通販サイトでは半額以下で投げ売りされ数年で生産終了となってしまいました。
現物を見て残念だったスコープのワースト1位で、この記録を超えるスコープに今後出会うことはないと思います。